「それで贈り物を交換するんだね〜」


ふむふむと興味深そうに耳を傾ける景時に、望美は嬉しそうに微笑んだ。


「はい。それでですね、私も景時さんに何か贈り物をしたいんですけど…」






    何が欲しいですか?






途端に、景時は無言になる。


「景時さん?」


「う〜ん…特にはないんだよね〜」


困ったな〜と腕を組む景時に、望美は一言。


「明日までの宿題にしますね!」








恋人として過ごす、初めてのクリスマス。

景時には宿題を課せられた。














T want…














「答え、出ましたか?」


期待に満ちた瞳で、望美は景時の顔を覗き込む。


そんな望美に、困ったように景時は苦笑を漏らした。


「それがね〜見つからないんだ」


「え〜!?」


子供のように頬を膨らませ、望美は景時に背を向ける。


「宿題って言ったのに…」


「本当にゴメン! だってね、どうしても見つからないんだよ〜」






      君と出逢ってから、色んなものに満たされてるから。






さりげなく言葉を紡ぎ、考え込むように景時は腕を組む。






望美と出逢ってから得たもの。

それは数え切れないほどにたくさんあって。

毎日が幸せで、満たされている。






「望美ちゃんは?」


「え?」


「望美ちゃんが欲しいものはないの?」



後ろからひょいと覗き込み、景時はにっこりと微笑んだ。


「えっと…」


「うん」


「えっと…ですね?」


「うん?」


口ごもり見る見る赤くなっていく望美に、景時は首を傾げる。


望美はきちんと向き合うと、
恥ずかしそうに顔を俯かせながら上目遣いに景時を見つめた。


「…私の欲しいものが『お願い』だとしたら、景時さん…聞いてくれますか?」


「オレに出来ることなら、何でも!」


お任せあれ!と言わんばかりに、景時は自分の胸をぽんと叩く。


「えっと…」


「うん」


先ほどの望美のように、景時は目を輝かせ望美を見つめる。


望美はためらいながら、必死に言の葉を紡ぐ。






    景時さんの奥さんになりたいって言ったら、どう思いますか?






か細い声で必死に紡がれた言の葉。


景時は一瞬黙り込むと、うっすらと紅潮した頬を人差し指でぽりぽりと掻き始め、
照れくさそうに言葉を詰まらせた。


「えっと…」


「…嘘です。今の…忘れてください」


困ってしまったのだろうと思った望美は、恥ずかしさで泣き出してしまいそうなのを堪え、
景時に背を向けて駆け出した。


「望美ちゃんっ!」


景時は慌てて望美の腕を掴み、そのまま腕に閉じ込める。


「その…ゴメン…」


真っ赤な耳元でそっと呟く。


「景時さんが…謝ることじゃないです。私が、変なこと言っちゃったから…」


「そうじゃなくて…」






      本当はオレが言わなきゃいけないことだよね。






望美の目をしっかりと見つめ、景時はにっこりと微笑む。






もし、断られたら。

もし、自分一人で舞い上がっているだけだったら。

それが嫌で、今まで言えなかった。






「君に言わせちゃって、ごめんね?」


「景、時さん…」


咳払いをすると、もう一度言の葉を紡いだ。






言わなければいけないこと。

ずっと言えなかった気持ち。






      オレの奥さんになって?






「きっと、幸せにするから」


優しい景時の笑顔。


だが、その瞳は真剣で。


望美はにっこりと笑み、こくりと頷いて景時の胸に顔を埋めた。


今までにないほど、この温もりを嬉しく感じる。


やっと本当に気持ちが通じ合ったような、そんな気がして…景時は腕に力を込める。


「…望美ちゃん」


不意に景時は名を呟く。






そして。






見上げた望美の唇に、そっと口付けを落とした。






      ずっと、一緒にいようね。






甘く、優しく、吐息は重なる。










イエス・キリストが生まれた日。

二人が新たな一歩を踏み出した日       


















お久〜な景時さん創作ですv
冒頭に『恋人として過ごす初めてのクリスマス』と書いてありますが、
初めてのクリスマスでいきなりプロポーズかよとか、突っ込まないであげてください(笑)
しかも、逆プロポーズ(笑)
甘いかどうか微妙になった…(死)

景時さんの『欲しいもの』はなんでしょう??
ということで、続きを…(笑)

















「あ!」


突然大きな声を出した景時の腕の中で、望美は驚いて身体をびくんと震わせた。


「な…なんですか?」


「欲しいもの、見つけたよ!」


「本当ですか?」


何がほしいんですか?と望美が尋ねると、景時は突然その身体を抱き上げた。


突然宙に浮き、望美は思わず景時の首に抱きつく。


「か…景時さん!?」


「オレの欲しいものはね…」


そっと耳朶に唇を寄せ、囁く。






    君だよ。






真っ赤に顔を染める望美にはお構いなしに、景時はそのまま部屋へと向かった。






     メリークリスマス、望美ちゃん。


















と言うことで、答えは望美ちゃんでした〜☆
あ、わかりやすいとかツッコんではいけませんよ?(笑)

書いといてなんですが、景時さんは「メリークリスマス」とか知らなそうですね(笑)
でも、言わせてみたかったんです!(笑)



















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